かつて「此花亭奇譚」を連載していた編集部に対する、事実と異なる噂がまことしやかにSNSで流れている事は、私も知っていました。
この件について触れずにいた理由は、ひとつは、もう私の中では終わった事なので。
もうひとつは、当時の担当編集から「今までの事は、SNSには書かないでください!」と強く口止めされていたからです。
しかし、当時の担当さんが既に編集者をお辞めになったとの事で、誤解を正す意味もあり、当時の事を時系列で書き出してみました。
最初に分かって頂きたいのは、この話に出てくる担当編集2人は、既に編集者を辞めており、現在の編集部とは関係ないと言う事。
そして、私の中では全て過去の事なので、これによって何かして欲しいとは考えていない…という事です。
記録としてお読みください。
※長いです
【2007年】
「百合姫S」という、当時としては画期的な「少年向けライト百合雑誌」の創刊を知り、一迅社に「狐っ娘仲居の百合漫画」の企画書を持ち込む。企画は大変好印象。
【2008年】
百合姫S本誌で「天野咲哉新連載!」と、誤植で予告が打たれるが、この新連載の事を私は聞かされておらず、Twitterで読者さんから知らされる。
私はこの時点でGOSICKの連載が始まっていたので、「読み切りは描けるが連載は無理だ」と編集部にメールを出す。
新連載ではなく、「cherry lip」というオールカラー漫画を載せる事で承諾。
この時点で、担当編集に不安を抱く。
【2009年】
「此花亭奇譚」の連載開始。
一話目のネームを提出するが、担当から全く返信が無い。
GOSICKの原稿もやっていたので、遅いネーム返信を待っているうちに、〆切日になる。
担「ネームの返信が無くても、〆切までに原稿は上げる物でしょう!」
ネームの返信が無いまま、3日で40Pの原稿を仕上げる。
この時点で、担当を信頼出来ずにいたが、もう連載は始まってしまった。
その後も、ネームの返信は遅く、仕事に支障が出る。
「早くネームを返してほしい」と申し出るが、変化はなし。
また、連絡は事後承諾が多く、今までの不信感もあり「此花亭奇譚」移籍を考える。
担「天乃さんは売れてないから、本来はうちでは載せられませんでした。それを連載させたのは僕なので、続けてください。」
担当への不信感を募らせながら、連載を続けた。
天「分かりました。ただ、もしSが無くなる事があれば、この連載は終了します。」この約束は、編集部も了承してくれた。
【2010年】
同時連載していた「GOSICK」のアニメ化が決まり、身辺が慌ただしくなる。
その頃、父が脳梗塞で倒れ、右手以外全身麻痺の寝たきりになった。
寝たきりの父の介護の為、「GOSICK」の連載休止を申し出るが却下(※この却下は、編集部判断ではなく、担当編集の独断だと後で分かる。)
同じ頃、百合姫Sの休刊が決定。
編集部からは本誌への移籍を打診されるが、Sとは方向性の違う「百合専門誌」では、此花亭は合わないと思った。また、担当編集への信頼も無いため、移籍は一旦断った。
寝たきりの父に癌がみつかり、母にも癌がみつかる。
仕事は休めないが、仕事量だけは増えていく。
時々目が見えなくなる症状に悩まされ、胃に穴が空きかける。GOSICKの休載を申し出るが、「編集だって大変なんだ」と、ドラゴンエイジ担当の独断で却下される。
心身ともに限界の中、百合姫担当からは毎日毎日毎日毎日、電話が掛かってくる。
担「どうか連載を続けてください!」
こちらの事情などお構いなしで、精神的に追い詰められる。
天「分かりました…もう此花亭なんかどうでもいいです。あなたの好きにしてください。」
担「…そんな投げやりな事言われても」
『じゃあどうすればいいんだ!』と思うと同時に、私は、もう少しで柚を捨てるところだったと気が付いた。
とにかく、私が何を言っても、誰にも聞いて貰えない。今までもそうだった。
大人しく言う事聞いたふりをして、電話を止めて貰おう。原稿を描かないと落ちる。
天「わかりました、前向きに考えさせてください。」
後日、どこかで「此花亭奇譚・本誌移籍連載」の告知が打たれたようだけど、私は承諾していないし、知らなかった。
これらの、「編集部による勝手な判断」に振り回されるうちに、事実と異なる噂が流れたとみられる。
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以上が、当時あった事です。
繰り返しますが、当時の担当編集お二人は既に辞任されており、現在の百合姫・エイジ編集部は、これらの件とは一切関係ありません。
また、当時の担当さんたち、及び会社からも謝罪の御言葉を頂いており、この件は終わっています。
私自身も、自分の至らなさを深く反省してきましたが、その後何年も此花亭の移籍が叶わなかった事で、もう禊は済んでいると思います。
なので、この件は「そういう事が昔あった」という記録です。
今となっては「GOSICK」「此花亭奇譚」という大好きな漫画を二作も世に出す事が出来、両編集部には感謝の気持ちしかありません。
色々御迷惑をお掛けしましたが、本当にありがとうございました。
【補足・2018/01/08】
・事実と異なる噂と言うのは、具体的には「百合姫が此花亭を打ち切った」「天乃が連載をブッチした」などのバッシングです。
・担当さんから「SNSに書かないでください」と口止めされた時「その代わり、此花亭の移籍先が決ったら百合姫本誌で告知します」と約束して頂いたので、移籍先が決るまで4年間、黙秘していたのですが、結果「告知は出来ない」とのお返事だったので、この約束は無効と判断しました。
・今までTwitterなどで、断片的にお話してきましたが、140文字では一部分だけが独り歩きして混乱を招く為、ブログでまとめて公開させて頂きました。過去のツイートはだいぶ消しましたが、こちらのブログは記録として残します。